
※画像素材として、
キャラクターなんとか機様にてキャラクターを
作成させていただきました。
ニコニ・コモンズ様より、みんちり様・おぴっつ様・つのがわ様(順不同)
の作品をお借りいたしました。
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夕方5時過ぎの公園を、毎年12月恒例のイルミネーションがキラキラ彩る。
公園入口を入ってすぐの噴水前で待ち合わせ。
水飛沫が光を神秘的にぼかす。
もう、どのくらい待っているのだろう? 高校の制服にマフラーと手袋という格好では、さすがに寒い。
短いスカートの裾を微かに揺らして小さく足踏みしながら、白い吐息と共に噴水を見るフリをして、さりげなく、噴水の向こうに設置されている時計に目をやった。
そこへ、
「アスカちゃん! 」
入口方向から名を呼ばれ、アスカは振り返る。そこに、待ち人の姿。
「ショータ君っ! 」
「ゴメン! アスカちゃん……! 」
公園近くのファミレスの制服にパーカーを羽織ったショータは、息を切らしながらアスカに駆け寄り、
「ランチタイムが混んだせいで、休憩時間がズレ込んじゃって……! 」
申し訳なさげにアスカを窺った。
アスカは口元に笑みを作って首を横に振る。
「大丈夫。わたしも、ほら、もうすぐ大会でしょ? 部活が長引いちゃって、今、来たとこだから」
「…そっか。それならよかったけど……」
ホッと息を吐くショータ。
そんなショータを、アスカは、爪先から頭のてっぺんへと視線をゆっくりと移動させて眺めた。
その視線に、ショータは無言の問い。
答えてアスカ、
「バイトの制服姿、初めて見たな、って思って。……なんか、そういう服装してると、大人のひとみたい」
褒め言葉と受け取ったのか、ショータは照れる。
「そ、そうかな……? 」
「うん。でも寒そう。パーカーの下、半袖でしょ? 」
言って、アスカは右手の手袋を脱ぐと、
「ショータ君、右手出して」
? な表情で、また無言の問いをしながらも、言われたとおりに右手を差し出すショータ。
アスカは、今し方脱いだばかりの、ショータには少しキツめの自分の手袋を、ぎこちない手つきで、差し出されたその手に被せる。
「え、でも、これじゃあ、アスカちゃんが寒いんじゃ……? 」
「ううんっ! 」
ショータの手に手袋を被せるために俯いたままの状態で、アスカは首を横に振って、その言葉を強めに遮り、
「こっ……こうすれば……っ! 」
持てる勇気を総動員して、右手でショータの左手を取った。
「こ…ここ、こうすればっ! あったかいんじゃないかな、って……! 」
アスカは俯いたまま。ショータの顔を見れない。
ショータ、
「うん。あったかい」
つながれた手を、自分の手がアスカの手を包み込む形に握り直す。
「…ショータ君……」
アスカは顔を上げ、ショータの目を見つめた。
ショータは静かに頷いて優しく受け止め、
「クリスマスなのに、1時間しか会えなくてゴメンね。僕、アスカちゃんと付き合えることになるなんて思ってなかったから、バイト入れちゃってて……。
…今、こうしてても、何だか夢の中にいるみたいで……」
「…わたしも、夢みたい……っ! 1時間でも、嬉しい……! ショータ君と一緒に、イルミネーションを見れて……っ! 」
と、不意に、空を仰ぐショータ。
アスカもつられる。
イルミネーションのために深みを失った夜空の闇の中から、無数のフワフワした白いものが現れ、天使の羽のように舞い降りてきていた。
頬に到達したそれは冷たく、瞬く間に水へと変化して頬から顎へ伝い流れ落ちる。
「…雪……! 」
(…雪……)
斉木美也子・40歳は、腰掛けているベンチのほんの1メートル先の噴水前で空を見上げている初々しいカップル・アスカとショータにつられて、空を仰ぐ。
予約していたチキンを仕事帰りに受け取りに来たのだが、予約の時間まで、まだ少しあるため、店のすぐ隣の、この公園に立ち寄っていた。
その手には、公園の駐車場で買い求めた、素手で持てないほど熱々の缶おしるこ。
(どうりで冷えると思ったら……。でも、ホワイトクリスマスか。いいね……)
雰囲気に浸りながら缶おしるこを開け、ひと口。
(…ぬるい……)
それほど大きくはないが何となく、ほぼ無意識のうちにしていた程度の期待を裏切られ、溜息を吐く。
缶は熱々なのに中身はぬるい。HOT缶飲料あるあるである。
しかし、ぬるい分、甘みは増して感じられた。
終
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※画像素材として、ニコニ・コモンズ様より、
lenna様・華音3R様・月星_雲様・漫博堂様(順不同)
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(…だいぶ、積もってきたな……。いつまで降るんだろ……? )
温暖なこの地域では珍しいドカ雪を、パート先のファミレスの休憩室の窓から眺めながら、2月14日午後2時、遅めの昼食をとっている遠岬唯(とおみさき ゆい)40歳。
そこへ、コンコン。ドアをノックする音。
ドアが開き、
「お疲れ様です」
入って来たのは、イケメン店長・樫庭俊真(かしにわ としまさ)30歳。
遠岬は条件反射で、
「あ、お疲れさまでーす」
と返しながら、あれ? と思う。
「店長。今日、出勤でしたっけ? 」
「違いますけど、今日中に終わらせなきゃいけない書類があるので」
「ああ、そうなんですね。雪の中、お疲れ様ですー」
そこまで言ったところで、遠岬はふと思い出し、朝に出勤して来た時から同僚全員に宛てたメッセージを添えてテーブル隅に置きっぱなしにしてあった、クマとハートの柄の可愛らしい箱を手に取り、蓋を開け、
「よかったら、おひとつどうぞ」
樫庭に差し出す。
箱の中身は、家族用にと昨日作ったバレンタインチョコの余り。職場の皆に食べてもらおうと持って来たのだ。既に誰か食べてくれたようで、2つ分ほどのスペースが出来ている。
樫庭、
「えっ!? もしかして手作りっすか!? そういえば今日、バレンタインっすね! いいんすか? ボクなんかがいただいちゃって! 嬉しいなあ! 寒い中、来てよかったっすよ! 実はボク、今年はひとつもチョコもらってないんすよね! 」
大袈裟に喜んでみせてから、
「いただきます」
と有難そうにひとつ摘んで口に入れ、
「美味しい! さすが主婦っすね! 」
これまた大袈裟に褒め、一転、トーンを落として甘やかに笑み、
「また何か作ったら、食べさせてくださいね」
遠岬を見つめる。
遠岬はドキッ。一拍おいて、キュンッ。
そのために、かなり後れて、
「えー? どうしよーかなあ? 」
冗談めかして反応しつつ、しかし、早くも頭の中では、次は何を作って持ってこようかと考えを巡らせていた。
樫庭は、まだ知らない。自分がこの翌日から3ヵ月間にわたってストーカー被害に遭うことを。
遠岬は、まだ知らない。自分がこの3ヵ月後に突然、ストーカー呼ばわりされることを。
終

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ニコニ・コモンズ様より、
midori様・MINE様・ぷちぷち様・クロイリク様(順不同)
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「第2ボタン? 」
幾度となく下校デートを重ねた河川敷の階段を下りながら、ブレザーの制服姿で斜め前方を歩く俊矢(しゅんや)が、足は止めずに、同じく制服姿の美尋(みひろ)を振り返る。
今日は、二人の通う中学校の卒業式だった。
それぞれ出席してくれた親を先に帰し、ゆっくりゆっくりと名残を惜しんで、既に大きく傾いた橙色の陽光に照らされて歩く。
二人は一緒の高校へ進学するが、高校へ通うのに、この河川敷は通らないため、河川敷での下校デートは、これが最後。
俊矢に聞き返されたのに頷き、美尋、
「うん、そう。第2ボタン。……ってね、私のお母さんの若い頃に、好きな男の子が学校を卒業する時に制服の上から2つ目のボタンをもらうのが流行ったんだって。
お母さんは中学卒業の時に、お父さんから第2ボタンをもらって、今でも、それを大事に持ってて……なんか、そういうのって素敵だなぁって」
「へえ……。でも、どうして上から2つ目? 」
「お母さんは、胸に一番近いから、って言ってたよ」
「胸に近い? それって一番上のほうが近いんじゃ……? 2つ目じゃ、むしろヘソ……」
「んー……。もともとは戦争中の何かのエピソードだとか、昔のアイドルの歌が元だとか、諸説ありみたいなことを言ってたけど」
「あー、戦争! 軍服だったら2つ目のボタンが一番胸に近いよね! お母さんの頃だったら、学ランの中学とか多かったかもしれないし、学ランも軍服と同じで2つ目が胸に近いし」
そっか、そっか、と、納得した様子で、視線を進行方向へ戻す俊矢。
このまま第2ボタンの話が終わってしまいそうで、美尋は、
「あっあのっ……! 」
急いで口を開く。
「俊矢くんの第2ボタン、欲しいな……って」
そう、美尋はそのために、第2ボタンを話題にしたのだ。
今度はちゃんと足を止め、美尋を振り返る俊矢。
美尋もつられて止まると、俊矢は美尋と同じ段まで戻って来、
「うん、いいよ」
あっさり答えつつ、右手をブレザーの金色をした第2ボタンへやり、ブチッと引きちぎる。そして、
「はい、どうぞ」
ニッコリ笑って左手で美尋の右手を取り、そのボタンを握らせた。
「俊矢くん……」
美尋は驚いて俊矢を仰ぐ。
驚いたのは、ボタンをもらえる自信が無かったから。しかも、こんなにあっさり。
美尋が俊矢と付き合い始めたのは、1年生の終わり頃。当時も二人は同じクラスで、進級に伴うクラス替えを控え、クラスが離れてしまうかもしれないことを考えた時に、それは嫌だと感じたと、俊矢から言ってきてのことだった。
しかし、いつしか立場は逆転。所属しているサッカー部の活動を通して、また、その他の学校生活の中でも、俊矢はみるみるカッコよくなっていき、気がつけば、美尋のほうが俊矢に夢中になっていた。自分がちゃんと俊矢につり合っているかと心配になるほどに。
いつもいつも気がかりだった。最近では、2年生の可愛い子が俊矢を好きだと噂になった。実は数日前、俊矢とその2年生が人目を避けるようにコソコソと二人きりで校舎裏にいるのを、たまたま3階の窓の中から見た。
第2ボタンの意味を伝えた上で、欲しいと言ったのは、気持ちを確かめる意味もあった。だから……。
「いいの? 」
優しく頷いて見せる俊矢。
「ありがとう! 大切にするね! 」
美尋は嬉しくて嬉しくて、ボタンを握りしめる。
と、
(? )
ボタンを握っている手に違和感。
何だか濡れているような、ヌルッとする感じ。
開いて見てみると、実際に濡れていた。
もともと金色のボタンが濡れて太陽の光に映え、夕日とお揃いの橙色、いや、それよりは、もう少し濃く、暗い色。
液体そのものに色があるように見える。
(…これって……? )
血、みたいな……? と、美尋が思ったところへ、
「どうせ僕の制服は血だらけで、破けてるところもあるから、もう、弟に着せれないからね」
頭上から、俊矢の酷く暗い声。
すっかり浮かれていた美尋だったが、これまで聞いたことの無いような声に急に不安を覚えて、俊矢を仰ぐ。
俊矢の双眸は、影を宿していた。
「俊矢、くん……? 」
微かな風に揺れる背の高い草のように、周囲に溶け込み気味に静かに佇む俊矢。
突然、
(! ! ! )
大量の血液が、俊矢の左側頭部と左の手の甲から溢れ、制服を伝って赤に染めつつ、地面に血溜まりをつくる。
(! ! ! ! ! )
そこまでで、美尋の視界は切り替わった。目の前には、見慣れた天井。
美尋は自宅の自室のベッドで眠っていたのだ。
(夢……)
大きく息を吐きつつ、上半身起き上がり、学習机の上に目をやる。
そこには、乾いた血液が付着しているためにくすんだ金のボタン。俊矢の制服の第2ボタンだ。
美尋は両手で顔を覆う。
今日は卒業式だった。その後の下校デート。
いつもの河川敷で階段を下りている最中、第2ボタンを欲しいな、と言ってみた。
現実の俊矢は、この制服は4月から弟が使うことになってるからダメ、と断った。
瞬間、何故だか美尋の脳裏を、あの2年生の可愛い子の姿が過る。
頭のてっぺんから爪先まで体の中身だけがグワンと大きく掻き混ざった感じがした。
一瞬、本当に一瞬だが、意識が飛んでいた。
ハッと気づいた時、美尋の両腕は前方へ突き出され宙を泳いでいた。そして、目の前にいたはずの俊矢がいない。
嫌な予感がし、恐る恐る、階段の自分の立っている段から下を見下ろす。
俊矢は階段を下りきった場所にいた。仰向けに転がり、左側頭部と左の手の甲から血を流して……。
美尋の頭の中は真っ白になった。誰かに操られているような、何かに引き寄せられるような感覚で、ゆっくりゆっくりと俊矢の許へと階段を下り、その傍らに膝をつく。
力無く地面に横たわる俊矢を、美尋は、キレイ……、と、暫し見つめた。
揺すっても、俊矢の反応は無い。
第2ボタン欲しいな、と、もう一度言ってみる。
ダメって言わないの? くれるの? じゃあ、もらうね。ありがとう。
美尋はカバンの中から携帯用の裁縫セットを取り出し、糸切り用の小さなハサミでボタンを丁寧に切り離して、その場を立ち去った。
そうして自分の物となった、机の上の、俊矢の第2ボタン。
指の隙間に見て、美尋は笑う。
(終)

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フノミヤ様・漫博堂様(順不同)の作品をお借りいたしました。
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7月24日(月曜日) 天気・曇
ついに、この日が来た! 羽化だ!
5年間の思いを胸に、俺は土の中から這い出る。
土の中での生活への名残と、外の世界に対する期待と不安。
先ずは、羽化をするための場所選びだ。
これは、かなり重要で、場所選びを失敗したために命を落とす仲間も多いと聞く。
条件は、掴まりやすく安定した場所。
場所が決まったら、夜になるのを待って、慎重かつ出来るだけ速やかに……。
夜になった。
脱皮自体は、土の中で5回繰り返してきたが、やっぱ、この最後の脱皮は違うんだよな。
何がどうって、それは何といっても体勢の不安定さ。
いや、あくまでもこれは感覚の問題であって、体が大きくなっているから、より不安定に感じるだけで、やっていること自体は大差ないのかもしれないけど……。
緊張する。
そりゃそうさ。命がかかってんだから!
体を揺すって、羽化の場所として選んだ木の幹に、今一度しっかりと爪を食い込ませ固定して、背中に出来た割れ目から、慎重に、先ずは当然背中、続いて頭。
頭は大きいし、つくりも複雑だから、なかなか抜けなくて苦労する。
やっと頭が抜けたら、今度は下方向へと順に抜いていく。
頭が出てから羽が抜けきるまでが、前足で掴ることができず抜け殻となった部分の固定まかせ、しかも木の幹に対して垂直となるので特に不安定で怖い。
羽が抜けきったところで重心を移動して前足で殻に掴まり、ひとまず、ホッ。
あとは、腹の先端まで抜いて、クシュクシュの状態だった羽を伸ばしたら完了。
…よかった。無事に終わって……。
早く乾かないかな……。
*
7月25日(火曜日) 天気・曇
羽が乾き、体も硬くなった。
さあ! 明け方の空へ飛び立とう!
種の存続のため、使命を果たしに!
*
7月26日(水曜日) 天気・雨時々曇
まだ大きな声は出ないから、求愛は出来ない。
どのみち雨も降ってるし……。
とりあえず今日のところは、雨がやんでる時を狙って、多くの仲間、特に女子の多そうな場所を探して移動しておこう。
そうだな、センダンかアオギリが多く生えてるところがいいか。
男女の比率、そして、女子は一生のうちに一度しか生殖行動をしないことから、自分の子孫を残せないまま生を終える男が、何と37%もいるとかいないとか!
そうならないようにしなくては……!
男たるもの、やはり使命を全うしなければ!!!
*
7月27日(木曜日) 天気・曇のち晴
さて、声もちゃんと出るようになったことだし、気合入れていこうっ!
*
7月28日(金曜日) 天気・曇時々晴
無理っ! 無理無理無理っ!!!
いや、ホント無理だってっ!!!
俺の声を聞いて、せっかく来てくれたんだけど、その女子の顔!
俺も似たような顔してるはずだけど、近くで見たら、ホント無理っ!
相手が気に入らなかったら逃げるのは女子の特権だけど、俺、自分から逃げちゃったよ。
あの娘、怒ってたなあ……。
でも、ホントにホントに無理……。
別にさ、ちょっと前にも書いたけど、俺も似たような顔してるはずで、あの娘だって、ようは普通のクマゼミなワケよ。特に醜いとかじゃなく。
…普通の顔の女子がダメって……。
……。
俺、37%側でいいや……。
外の世界を思いきり楽しんで、それで終わろう。
*
7月29日(土曜日) 天気・曇時々晴
今日はホントに危なかった。
曇り空が晴れて射した強い陽射しに夏らしさを感じて嬉しくって……いや、本当は、暑いのは得意じゃないんだけどね。夏の虫のくせに。でも、俺が地上に出て以来ずっと、あんまりスッキリした天気じゃなかったからさ、ついはしゃいじゃって、意味も無く飛び回ってて、で、カラスと衝突した。
それで一瞬、気を失って、目が覚めたら地面に転がってて、何と! 目の前にカマキリ!!!
雰囲気的に、ちょっと前からいたみたいだけど、多分、俺が生きてるかどうか、窺ってたんだ。ヤツは、生きてるものしか食べないらしいからさ。
だから、本当は、ヤツの前では死んだふりするのが一番。
…分かってるんだけど……。
突然だったし、ヤツの顔が怖すぎて、ビックリして思わず動いちゃったんだ。
瞬間、振り下ろされる死神の鎌。
かわして逃げることに成功したけど……。
*
7月30日(日曜日) 天気・曇時々晴
今日は蜘蛛の巣に引っかかった。
暴れて、すぐに脱出したけどね。
大型昆虫ナメんなよ?
……しっかし、外は敵が多いね。昨日も危なかったし。
土の中にも、モグラとかケラとかゴミムシとか敵はいたけど、ホント、数が桁違い!
気をつけないとな。
もう、使命とか関係ないけど、せっかく生まれてきたワケだから、出来るだけ長く生きて楽しみたいじゃん?
いや、土の中にいる段階で既に虫としては長生きしてるし、充分楽しんだけど、外の世界を、ってこと。見たことないようなものが、いっぱいあるし。
明日は、海のほうへ行ってみようと思ってる。
何か、噂によると、色々とスゴイらしいね。
楽しみっ。
*
7月31日(月曜日) 天気・晴時々曇
やって来ました! ビーチっ!
白い砂浜! 青い海!
……でも、それよりも何よりも、いや、噂どおりっ!
これでしょっ? これのコトでしょっ? この、眩い集団っ!
ピチピチ張りのある素肌にムッチリボディ。カラフルな水着を纏った弾ける笑顔。大人未満な感じの人間の女のコのキラッキラした5人組!!!
*
8月1日(火曜日) 天気・晴のち雨。
驚いた。
スズメに襲われたことじゃない。
なんか、何かに襲われるコトが頻繁すぎて、慣れてきたっていうか、使命とか関係無くて、いつ死んでもいい身としては、それにスリルを感じて楽しんでさえいたり……。
何に驚いたって、今日も俺は海を見に行ってて、ビーチの前の道路でスズメに襲われたんだけど、スズメの攻撃をかわすのに夢中で、同じく今日も海に来ていて たまたま居合わせた昨日のキラキラ集団のうち、ひとりの女のコにぶつかっちゃったんだ。
ぶつかった衝撃で地面に仰向けに転がった俺は、その女のコと目が合って、固まった。「キモッ」とか言われるのを覚悟した。……人間で俺らセミのことを気持ち悪がらずに喜んで眺めるのは、5歳以下の男子と変わり者の学者くらいだって知ってるから。他の人間、特に若い女性には嫌われる存在だって分かってるから。
けど、言われなかった。それどころか、仰向けの俺に手を伸ばして、うつぶせに戻してくれた。
そうしてからも何故かそのまま俺を見つめているから、俺は恥ずかしくなって、彼女の前から逃亡を図った。
宙から振り返って見ると、彼女は、まだ俺を見てた。ホッとしたような優しい表情で、見送るように。
こんなコもいるんだなって、驚いたんだ。
*
8月2日(水曜日) 天気・晴
俺、何か変だ……。ずっと、ビーチで会った昨日の彼女のことばっか考えてる。
無意識のうちに彼女の姿を捜してしまっている気がする。
*
8月3日(木曜日) 天気・曇
彼女がいない。
ビーチ周辺にも、商店街にも、住宅地にも、川とか山も見に行ったけど、どこにもいなかった。
もう二度と会えないかも知れないと思ったら、何だか、とても切なくなった。
*
8月4日(金曜日) 天気・曇
おばあちゃんと一緒に縁側でスイカを食べてる彼女を見つけた。
おばあちゃんとの会話から、彼女の名前が「ミイ」であることが分かった。
ミイ、か……。可愛い名だな。彼女にピッタリだ。
あと、やっぱりいい子なんだなって分かった。
おばあちゃんへの接し方がさ、なんか、とっても優しいんだ。俺のことも助けてくれたし。
縁側でミイを見つけて以降、俺は、ずっと、見やすい場所へと移動を繰り返しながら、家の外側からミイを見てた。
だって特に他に行くとこや、やることが無いワケだから、見ていたければ、いつまでだって見てられる。
家の中には、ミイとおばあちゃんしかいない。
ミイとおばあちゃんは片時も離れず一緒にいて、ミイはホントによく笑って、ホントにホントに、よく おばあちゃんを手伝う。
おばあちゃんが幸せそうな以上に、ミイが幸せそうで……。
いい子だなあ、ホントにホントにホントに、いい子だなあ……。
ミイが窓の外へと顔を出して手を伸ばし、雨戸を閉めた。
そっか、もう夜だもんな。
じゃあ、今日はここまで。雨戸を閉められたら見えないし。
俺はこのまま、ここで夜を過ごさせてもらうよ。
明日の朝、雨戸が開いたら、すぐにまた、ミイを見られるように。
おやすみ、ミイ。また明日……。
*
8月5日(土曜日) 天気・晴のち雨
朝、ミイが大きなカバンを持って玄関から出て来た。
続いて、おばあちゃんが出て来て、ミイに、「また遊びにおいで」と言い、見送る。
この家はミイの家じゃなく、おばあちゃんの家だったんだ。
で、今日、ミイ自身の家へ帰る。
危なかった、と思った。
ミイの家が、おばあちゃんの家からどれくらい遠いか分からないけど、俺がおばあちゃんの家を通りかかったのが昨日じゃなく今日や明日だったら、いや、昨日であっても、スイカを食べてるあのタイミングじゃなかったら、以前にも思ったように、もう二度と会えなかったかも知れないと。
俺は、ミイについて行くことにした。残る理由は全く無いし。
乗り物に乗られてしまうと飛んでついて行くのは無理なため、ミイのカバンについてる大きな飾りのリボンの裏に、そっと隠れた。
ミイの自宅へは、おばあちゃんの家の最寄りの駅から電車で2駅だった。
本当に、あのスイカを食べてる時に見つけれてよかった。
この距離じゃ、たとえ真っ直ぐに向かったとしても厳しいのに、偶然見つけられるなんてことは、ありえないから。
駅を出たところで、先日ミイとビーチにいた4人のうち2人に会った。
2人はミイに礼を言っていた。どうやら、海で遊ぶのに、皆でミイのおばあちゃんの家に1泊したらしい。
それで、その後、ミイだけ残ったとのこと。
2人との会話を聞いていて、類は友を呼ぶだなあと思った。
ミイにちゃんと礼を言ったことからして既にそうだし、「大勢でお世話になっちゃって、おばあちゃん大変だったんじゃない? 」とか、おばあちゃんを気遣ったりして、皆、いい子なんだな、と。
そのまま流れで、「この後、ヒマ? 」となり、ミイは2人とカラオケへ。
長い時間、俺はずっとリボンの陰で、ミイが何を歌うのか楽しみに待ってたけど、結局、1曲も歌わなかった。
カラオケ屋を出た時には、もう外は夜だった。
カラオケ屋の前で2人と別れ、徒歩10分程。
ミイは8階建てのマンションに入って行き、「ただいまー」と、2階の一室のドアを開ける。ここがミイの自宅のようだ。
俺は咄嗟にミイのカバンから離れ、位置的にミイの自宅の外側にあたるであろうベランダへ回った。
カーテンが閉まっているため中は見えないが、ミイの声が聞こえるので間違いないと確信を得てから、俺は食事のため、マンションのエントランス脇にたまたま見かけたアオギリの木へと移動した。
おやすみ、ミイ。また明日……。
*
8月6日(日曜日) 天気・晴
マンションの入口のアオギリで食事をとって、そのままそこで夜を過ごした俺は、日の出を合図にミイ自宅ベランダへ移動した。
少しして、ミイのお母さんだろうか? ミイそっくりな大人の女性がカーテンを開けた。
お母さんしかいない窓の向こうを眺めること数時間、目覚めたばかりっぽいミイが食卓についた。
間もなく出掛けそうな雰囲気があったため、俺は場所を玄関の外側の壁に移った。
玄関の外で待機していると、ミイより先に、虫カゴを首からさげて虫アミを手にした、俺のことを大好きそうな小さな男子が出て来た。
ミイの弟だろうか?
俺は、彼の目線よりだいぶ上へと位置を変えた。
彼に捕まるのも、ミイの家の中へ入れるからいいかな、と、ちょっと思ったけど、樹液しか口にしない俺だから、ちゃんとしたメシの用意なんて、人間にはかなり難しいはずで、絶対、1日やそこらで餓死させられるから、やめておこうと考え直した。
肝心のミイが出て来たのは、その1時間後くらいだった。
間もなく出掛けそうだと思ったんだけど、やっぱ、女子は仕度に時間がかかるね。
まあ、仕方ないけど。
今日のミイの服装や持ち物には、俺の潜めそうな場所が無いため、俺は自力でついて行くことにした。
幸い乗り物には一切乗らず、向かった先は、図書館。
集中した様子で勉強している姿を、俺はずっと、外から見てた。
…頑張るなあ……。エライなあ……。
夜7時、図書館が閉館時間を迎えて、ミイは帰路につく。
俺はまた自力で後をついて行って、ミイが無事に自宅の玄関へ入るのを見届け、一旦ベランダへ回って、既にカーテンが閉まっていて中が見れないことを確認後、アオギリの木へ。
おやすみ、ミイ。また明日……。
*
8月7日(月曜日) 天気・晴時々雨
ミイの自宅マンションのつくりだと、ベランダからじゃ、リビングダイニングかキッチンにいてくれないと、姿を見れない。
他に窓は、一応玄関の横に1つあるけど、磨りガラスだし……。
朝食後、ミイの姿が全く見えない。
出掛けそうな雰囲気は無かったし、出口は玄関と決まっているから玄関の開閉の音に気をつけていたので、いつの間にか出掛けてしまったということもないだろう。
おそらく、リビングダイニングの奥に見えるガラス扉と玄関のドアとの間にあるはずの空間にいるのだ。
リビングダイニングでは、弟が、バッチリメイクをして帽子を被ったお母さんに、日焼け止めを塗ってもらっている。
日焼け止めを塗ってもらい終え、弟は、愛用の虫カゴを首にかけ、帽子を被り、虫アミを手に、はりきって玄関方向へ。
お母さんも、あらかじめ用意してあった大きめのカバンを持ち、弟を追う。
出掛けるらしい2人から、何かミイのことを聞けるかもと思い、俺も外側から玄関へ向かった。
玄関を出、鍵をかけているお母さんに、弟、
「おねえちゃんは、いかないの? 」
おお! いいね! その質問!
グッジョブだ! 弟!
俺はちゃんと聞きたくて、弟に捕まる覚悟で、出来るだけ近づく。
弟の質問に、お母さんは、
「お姉ちゃんに静かにお勉強させてあげたいから お出掛けするんだから、お姉ちゃんは行かないよ。
今日は月曜日で図書館がお休みだから、おうちしか、お勉強できる場所が無いでしょ? 」
「おねえちゃん、このごろ、おべんきょうばっか……」
弟は、ちょっと寂しそう。
お母さんは、そんな弟の頭を優しく撫で、
「学校へ入るためのテストがあるの。テストを受ける人たちは、皆、夏の間に頑張るから、お姉ちゃんも頑張らなくちゃいけないの。
テストが終わったら、いっぱい遊んでもらおうね」
学校へ入るためのテスト……。そっか、ミイは受験生なんだな……。大変だな、人間は……。
出掛けて行くお母さんと弟の背中がエレベーター内に消えるのを見送ってから、俺は、ベランダに戻った。
夜になってカーテンが閉まるまでの間、ミイがリビングダイニングに出て来たのは、昼食を食べる時と、外出から帰って来たお母さんと弟と一緒にオヤツを食べる時だけ。
すぐ傍にいるのに、今日はほとんど、ミイに会えなかったな……。
まあ、頑張ってるんだから、仕方ないか……。
おやすみ、ミイ。また明日……。
*
8月8日(火曜日) 天気・晴
ミイは、今日は図書館で勉強。
途中に昼休憩を挟んで朝9時から夜7時まで。
俺も、もちろんついて行った。
場所が図書館だと、ずっと見ていられるから有難いよ。
おやすみ、ミイ。また明日……。
*
8月9日(水曜日) 天気・晴のち曇
ミイは今日も図書館。
俺は、やっぱりずっと見てた。
…幸せって、きっと、こういうことなんだろうな……。
ただ、帰り道は暗いし、気をつけないと。
夏は頭のおかしいヤツが増えるし。
俺が一緒にいられる間は、ちゃんと毎日、玄関を入るまで見届けるけど。
……いや、ホントに見届けるしか出来ないんだけどね。
おやすみ、ミイ。また明日……。
*
8月10日(木曜日) 天気・曇
なんかミイ、疲れてるみたいだ。
今日もミイは図書館の開館時間中ずっと勉強。
勉強中は、ちゃんと、いつもみたいに集中してやってたけど、行き帰りに歩いてる姿を見てて……。
頑張らなきゃいけない時らしいから、無理するなとか無責任なこと言えないけど、心配だよ。
この間、海で遊んで、おばあちゃんの家に泊まって、帰って来る途中にカラオケまで寄って、良いガス抜きだったんだろうな。
それって、結局 体は休めてないけど、まあ、若いから、体力的には大丈夫なんだろうし。
また、そろそろ、気分転換が必要かも? とか、玄関に入って行く後ろ姿を見ながら、そう思った。
おやすみ、ミイ。また明日……。
*
8月11日(金曜・祝日) 天気・曇一時雨
午後3時、珍しく図書館の閉館時間を待たずに帰宅したミイは、リビングでお母さんに浴衣を着せてもらっていた。
昨日の図書館の行き帰りには確かに疲れが見られたのに、今日は行きも帰りも足取り軽やかで、心なしか表情も明るかったから、あれっ? って思ってたんだ。
浴衣着て、どこかへ出掛けるのか。
これを、楽しみにしてたんだな。
着付けが終わって、姿見の前で右向いたり左を向いたり、クルッと1回まわって、ちょっとポーズをキメてみたり……。
可愛い……。
仕度を全部終えて玄関から出て来たミイの帯の結び目部分に、俺は、そっと隠れた。
一緒に海へ行った4人と、5時に駅で待ち合わせて、おばあちゃんの家とは反対方向の電車に乗り、1駅。
改札を出ると、とても賑やかだった。
道路は封鎖されて歩行者天国となり、屋台なんかも出て、これは、かなり大きな祭だ。
しかしミイたちは屋台には目もくれず、河川敷へ。
「ここなんて、どうかな? 」「うん、いいんじゃない? 」
相談し合って決めた場所にピクニックシートを敷き、やっと屋台で買い物を始めるも、それを楽しんでいる感じは無く、1人はシート上に残り、あとの4人は各々別の屋台へ散って、時間を気にしてる様子で同じ物5人前を手にして戻ってくるという、ただ必要な物を買い揃えているといった感じ。
俺は、?????
そんなんで楽しいのか? と思いながら見ていたが、彼女たち全員が戻って来てシートの上に落ち着いた数分後、花火大会を開始するとの会場アナウンスが流れ、直後、すっかり暗くなった空に、ピュウッスルスルスルスル……ドーンッ! 大輪の花が咲いた。
おおっ! 花火っ? 実物って初めて見た!!!
生まれて初めて目にした打ち上げ花火に感動しながら、なるほど、こっちがメインか 、と、屋台での買い物をほとんど楽しんでいなかった彼女たちの様子に納得する。
ピュピュウピュウピュウピュウッシュールシュルシュルシュルシュルシュル……ドーンドドンドンドーンッ!
連続して上がる花火。距離が近いため音が腹と胸の間に響く大迫力。
ミイたち5人も周りの他の人たちも皆が花火に夢中なのをいいことに、俺は、そっと帯から抜け出し、ミイの表情の見える位置まで移動した。
ミイは両の目に花火の光を宿し、頬を紅潮させて口は半開き。溜息を漏らす。
俺は花火を横目に、ずっとミイを見てた。
ミイと一緒に花火を見れるなんて、夢にも思わなかった。
幸せだ……。ホントにホントに、幸せだ……。
花火大会が終了し、彼女たちを含め周りが一斉にガサゴソとゴミを片付けたりシートを畳んだりし始めたのに紛れて、俺は素早くミイの帯に戻った。
興奮冷めやらぬ様子で花火の感想を口にしながら帰路につく、ミイと4人の友人たち。
電車に乗り、1駅で降りて改札をくぐった後、ミイだけが方向が違うため、4人と別れた。
祭りの賑わいとは対照的な静かな住宅地を、ミイは、自然と早歩きになって家路を急ぐ。
やはり、ちょっと怖いのだろう。いつもの図書館の帰りより、だいぶ時間が遅いし。
でも、あとちょっとだ。
あとは児童公園を突っ切るだけで、ミイの自宅マンションは、すぐそこ。
ドアと磨りガラスが交互に整然と並ぶ巨大な壁が目の前に立ちはだかり、それより向こうにあるはずの景色を遮っている。
児童公園内を中ほどまで歩いたところで、ミイの斜め背後、滑り台の陰から、ユラッと大きな影が出て来た。
影は中年の男で、足早にミイに近づく。
え? コイツ、何? もしかして……。
俺はドギマギした。
ミイが男に気付いている様子は無い。
男は両腕を広げてミイに覆い被さろうとする。
さすがに気配に気付いて振り返り、固まるミイ。
その反応から、確信した。
やっぱコイツ、ミイの知り合いじゃない! 変質者だっ!
危ない! ミイっ!
俺は男を見据え、
「クーマーゼーミー、アターックッ!!! 」
その目に狙いを定めて突進した。
見事命中! 男は目を押さえる。
今だ! ミイ! 逃げろっ!
恐怖で思うように体が動かなくなってしまっているのだろう、ヨロヨロと、それでも何とか、ミイは、マンションへ向かう。
しかしそこへ、復活した男が、腕を伸ばし追い縋った。
俺は再び目を狙って、
「クーマーゼーミー、アターックッ!!! 」
今度も命中! 男は伸ばした手を引っ込め、また目を押さえる。
ミイ! 早く! 早く家の中へっ!
男が復活する度、俺はクマゼミアタックを繰り返す。
だが、クマゼミアタックは、男以上に俺へのダメージが大きい。
当然だ。あっちは目だけで、こっちは体ごとぶつかってんだから。
もう、ちょっと動くだけで全身が痛む。頭がクラクラして視界がかすむ。
俺は、チラッとミイのほうを確認する。
マンションのエントランスに入って行くところだった。
そこから先はエレベーター。すぐに2階の廊下にミイの姿が現れる。
マンション内まで逃げられてなお、復活してミイを追おうとする男。
俺は最後の力を振り絞って、もう一撃。
「ックゥーマァーゼェーミィィィィィィィー、アターックゥゥゥゥゥッ!!! 」
命中! 俺、スゲー……!
力を使い果たして落ちて行きながら、俺は、ミイが無事、自分の家へ入って行くのを見届けた。
俺が落ちて仰向けに転がった場所は、丁度、草むらとの境。
草むらの中から、いつかも出会った緑色の死神が、俺を窺っている。
ああ、俺、死ぬんだな。
愛する女を守って死ぬとか、俺、めちゃくちゃカッコ良くね?
……ミイと出会えてよかった。サイコーの、夏だったよ。
俺は、死神の鎌を甘んじて受けた。
さよなら、ミイ。元気でな……。
(終)