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くまニック(タイトルあり)

 まだ若い緑の木の葉に快晴の5月の眩い太陽光が透けているために明るい、森の中の小道。
 ……森の中?
 森の中であるとハッキリ言いきってしまうと語弊がある。
 ここは室内。長谷山菜子(はせやま さいこ)宅のリビング。
 小鳥がさえずっていようが、蝶が舞っていようが、風がそよいでいようが、室内。
 何度も言うが、室内。
 しつこいようだが、室内、しかも夜なのである。
「…すごい……っ! 」
 仕事から帰宅しリビングのドアを開けた瞬間、感動した様子で溜息を吐くと同時に小さく呟き、瞳をキラキラさせて、お土産と思しきケーキ屋の箱を手にしたまま立ち尽くす菜子。
 ややして吸い込まれるように1歩進んでリビング内へ入り、後ろ手でドアを閉め、辺りを見回す。
 その菜子の姿にユウ君は、胃の辺りがホワンと温かくなり、思わず笑みがこぼれた。
(良かった。喜んでくれて……)
 そう、この室内の森を用意したのはユウ君。目的は、菜子を喜ばせるため。
 いつも一方的にお世話になってばかりの菜子に何かしてあげたいと思っていたところへ、テレビで放送していたゴールデンウィークのハイキング特集を菜子が興味深そうに視聴しているのを目にしたので、菜子の帰宅する時刻に合わせて作ってみた。
「これ、ユウ君がっ!? 」
 菜子はキラキラしたままの目でユウ君を振り返る。
 ウン、と頷くユウ君に、菜子は更に続けて、
「まるで本物みたい! どうやって作ったのっ!? 」
 ユウ君は褒められて何だか照れくさくなりながら、
「想像したんだ」
「想像? 」
「頭の中で強く思い浮かべると、それが立体的な映像になって現れるんだよ。それも、見えるだけじゃなくて、ちゃんと触ることも出来る」
 言って、ユウ君は、木の枝でさえずっている小鳥に右手を伸べ、人指し指に止まらせて見せた。
 へえっ! と、大袈裟とも思えるくらいに感心する菜子。
 だが全く嫌味には感じず、照れつつも、ユウ君は素直に嬉しくて、小鳥を飛び立たせておいてから、
「ねえ! 菜子さん! その場で足踏みしてみて! 」
不思議な表情で頷き言われたとおりにする菜子に、ワクワクしながら更なる仕掛けを発動させる。
 それは、まるで実際に歩いているかのように、歩く速さで景色が後ろに流れるというもの。
「もう少し歩くと、キレイな湖に着くよ」
「すごいっ! じゃあ、湖に着いたら、ケーキ食べよっか」
言って足を止め、菜子は、手にしていたケーキの箱を顔の高さまで持ち上げて見せる。
「ユウ君が美味しいって言ってたケーキ、また買ってきたの」
(…菜子さん……)
 菜子はいつもそうだ。どうしたらユウ君が喜ぶのか、いつも考えている。
 今日はユウ君が菜子を喜ばせようと考えていたが、同時に菜子のほうもユウ君を喜ばせることを考えていた。
 喜ばせようとしてみて初めて、ユウ君は気づいた。
(僕は今日、菜子さんを喜ばせようとして、結局、菜子さんの喜ぶ顔に僕が喜んでた。……僕はどうだろう? いつも僕を喜ばせようとしてくれる菜子さんに、ちゃんと、喜んでる顔を見せれてるのかな……? )
 ユウ君はソワソワしてきた。菜子が自分のために何かをしてくれた時には必ずありがとうを言っているが、あらためて言いたくてたまらなくなった。感謝していることを、今一度、キチンと伝えたくなった。
「菜子さん」
 ユウ君は、ケーキの箱を顔の横に並べてニコニコ自分を見上げている菜子を、真っ直ぐに見つめ返す。
 これまでに何度も、普段から言っていることなのに、あらためて口にしようとして何故か緊張。息を大きく吸って吐く格好をしてから、
「いつもありがとう」
「うん! 」
 もともとニコニコ笑顔だった菜子の口角が更に上がり、目尻は更に下がった。とろけそうな、とでも言おうか、甘く安らかな、この上など存在しないと思われる幸せそうな笑顔。
「ユウ君も、こんなスゴイの作ってくれてありがとうね。あと、いつも一緒にいてくれてありがとう。これからもヨロシクねっ」
(…菜子、さん……)
 ユウ君は、菜子を抱きしめたくなった。けれども、少なくても外見に関しては明らかに年上の菜子に対して、それは失礼であると思ったし、拒否されるのも怖かったので、しなかった。
 それでも、やっぱり、どうしても……。
 己の中の勇気を総動員して、そっと、菜子の空いているほうの手を取るユウ君。
 菜子はキュッと握り返し、
「歩こっか」
 一旦進行方向を向いて足踏み開始。ユウ君も歩調を合わせる。
 暫く歩いてから菜子は、ユウ君を嬉しそうに振り仰ぎ、
「ユウ君とピクニック行けるなんて思わなかった! ユウ君、外は怖いって言うし」
そこまで言って、あれ?
 表情を曇らせ、俯く菜子。
 どうしたんだろう? と心配になって見守るユウ君を、自信なさげに上目づかいで窺った。
「ピクニックとハイキングの違いって、何? 」
 ピクニックとハイキングの違い、か……。と、ユウ君がちょっと考えると、突然、前方に2組の家族連れが現れた。うち1組は、全員が長袖長ズボンに運動靴、帽子を被ってリュックを背負うという、そこそこしっかりした装備で歩いている。もう1組は、ナメくさった装備でシートを広げて座り、お弁当を囲んでいる。
 その2組を見比べ、ユウ君、
「わかんないけど、多分、自然の中を歩くだけなのがハイキングで、そこで食べ物を食べたらピクニック? ……かな? 」
 ユウ君の答えに、菜子はパッと表情を晴れやかにし、顔を上げた。
「そっか! じゃあ、わたしたちにはケーキがあるから、ピクニックで正解だったね! 」
 スッキリしたようで、足取りも軽く2組の家族連れを追い越していく。
 それにしても今日の自分の想像力は絶好調だと、ユウ君は思った。いつもならば、ちょっと考えるだけで先程の2組の家族連れなどは現れない。そうなっている理由としては、森を維持し菜子の歩みに合わせて動かしている最中であるために集中力が高まっているのだと、既に理解できているが……。
 菜子は本当に楽しそうだ。足取り軽やかどころか、もう、スキップに近い。ユウ君とつないだ手をブンブン揺らし、「しっずかーな こっはんーの ~ カッコー カッコーウ♪ 」と口ずさんでいる。
 さすが本日絶好調のユウ君。姿は見えないが、どこからかカッコウの鳴き声が聞こえてきた。
 ユウ君がすぐ隣で微笑ましく見つめる中、数十秒の後、フルコーラス歌い終え、周囲の明るさにそぐわないフクロウの声をバックに、ユウ君も歌おう、と声を掛ける、ご機嫌な菜子。
 それじゃあ、とユウ君、
「あるーひー もりのーなっかー♪ 」
 歌い始めてから、しまった! と思った。何故なら、この歌の続きは……。
 まだ歌ってはいないが、普通に1・2小節後ろくらいは思い浮かべる。だからこそ気づいたのだ。今日の自分は絶好調。ちょっと思っただけで具現化する。当然……。
 背後で、グル……と低い唸り声。恐る恐る振り返り確認するユウ君。案の定、
(熊っ……!! )
 熊の出現をユウ君とほぼ同時に気づいたと思われる菜子、つないでいる手を引っ張り、先に立って、足踏みでなく実際に走りつつ、
「ユウ君! 何か他のことを想像して熊を消して! 」
「そっそんな! 無理だよっ!! 」
 分かっていても、何とかしなきゃと思えば思うほど、何も考えられなくなってくる。
 現実には、それほど広くない部屋の中。2人はあっという間に壁に追いつめられた。
 振り向けば、熊はすぐ後ろ。壁を背にして固まるユウ君。熊は後ろ足だけで立ち、右前足を振りかぶる。
 ユウ君に向けて勢いよく振り下ろされる熊の右前足。ユウ君は、
(ダメだ! 死ぬ……! )(……だいぶ前に死んでるけど……)
 と、その時、ユウ君を背に庇うように、菜子が両腕を広げてユウ君と熊の間に割り込んだ。
「菜子さんっ! 」
 叫ぶユウ君。
 熊の前足は、菜子の頭蓋を直撃! ……しなかった。スレスレを下りてき、菜子の目の高さで止まった前足の先の鋭い爪には、白い貝殻の小さなイヤリングがぶら下がっている。
 そのまま数秒。熊は動かない。
 菜子は熊を窺いながら、
「あら くまさん ありがとう? 」
おそらく菜子の物ではない、そのイヤリングを受け取り、
「おれいに うたいましょ? 」
 いつの間にか目的地である湖に変わっていた景色の中、2人と1頭は手をつなぎ輪になって、歌いましたとさ。
 ラララ ラーラーラーラーラー ラララ ラーラーラーラーラー♪
 めでたし。

              (終)


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咲きましたっ!

まいけー宅のツツジ、無事に咲きましたよー +゚。*(*´∀`*)*。゚+

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本日の獅兜座

おはようございます! 獅兜座のまいけーでっす (*´▽`*)/

本日2017年5月24日(水曜日)の獅兜座、
サブジャンル(ライトノベル)ランキング、
15位!

ありがとうございますっ <(_ _)>

カレーパン味のチロルチョコ

お掃除屋さんのほうのバイトの休憩で長泉のセブンに寄った時、
今日 一緒に組んでいたマネージャーさんが、チロルチョコを買ってくださいました (*´▽`*)\
それが何と、カレー味!!!
最近、多いですよね、そういう変わった味の取り合わせ。
ちなみに まいけー、そういったものを口にしたのは初めてです。
まあ、美味しかったですよ。
もう一度自分からすすんで食べようとは思いませんが・・・ (;´▽`A``

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カレーパン味のチロルチョコ。

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中はこんな感じ。

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割ってみると、こんなふう。
そこそこの辛さのカレーペーストが入っていて、思わず笑ってしまうくらい普通にカレーでした。


本日の獅兜座

こんばんは! 獅兜座のまいけーでっす (*´▽`*)/

今更ながら本日2017年5月23日(火曜日)の獅兜座、
サブジャンル(ライトノベル)ランキング、
11位!

ありがとうございますっ <(_ _)>

本日の獅兜座

おはようございます! 獅兜座のまいけーでっす (*´▽`*)/

本日2017年5月22日(月曜日)の獅兜座、
サブジャンル(ライトノベル)ランキング、
10位!!!

ありがとうございますっ <(_ _)>♡

ツツジの蕾

まいけー宅のツツジに蕾がつきましたっ (*´▽`*)\‐♡

KIMG0198.jpg

昨年GW中に引っ越してきた時から、もともと植えられていたもので、その時にはキレイに咲いていたのですが、今年はGW過ぎても蕾もつかずに、
「ああ、やっぱ植物って難しいのかな・・・。花を咲かせるためには、何か必要な手入れとかあったのかも・・・」
と、諦めていました。
このまま、無事に咲いてくれるといいなっ (*´∀`人 ♪

本日の獅兜座

おはようございます! 獅兜座のまいけーでっす (*´▽`*)/

本日2017年5月21日(日曜日)の獅兜座、
サブジャンル(ライトノベル)ランキング、
11位!

ありがとうございますっ <(_ _)>

本日の獅兜座

おはようございます! 獅兜座のまいけーでっす (*´▽`*)/

本日2017年5月20日(土曜日)の獅兜座、
サブジャンル(ライトノベル)ランキング、
7位!!!

ありがとうございますっ <(_ _)>♡

第2270回「最近驚いたことは?」

こんにちは!トラックバックテーマ担当の梅宮です今日のテーマは「最近驚いたことは」です梅宮は普段、食べたいものは、食べたいときに、好きなだけ食べるというスタンスでやってきましたが最近、代謝が落ちたのか1ヶ月で5kgも太ってしまい驚きました太る事よりも自分のスタンスを変える方が嫌なので我慢もダイエットもしません...
FC2 トラックバックテーマ:「最近驚いたことは?」



獅兜座のまいけーの回答
「それはもちろん、軽自動車税の税率UPです (*`^´)=3
いや、何年も前から言われていたのを、
まいけーが忘れていただけですけどね・・・
でも、古い物を大切に使い続けることが、
そんなに悪いことなんですかね (#^ω^)ビキビキ 」
プロフィール

獅兜舞桂

Author:獅兜舞桂
獅兜座(しっとざ と読みます)座長・獅兜舞桂(しっとまいけー)です。
よろしくお願いします。
以前は恵子ミユキの名で活動しておりました。

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